死に至る病(やまい)
桜は咲いたが、空気の冷たい春の朝。
サタンは一人、病院の待合室にいた。
「サタンさん、検査の結果が出たので、診察室へおこしください。」
受付の看護師が忙しそうにそう告げた。
「...」
診察室は重い空気につつまれている。
しばらく無言で写真を見ていた担当医は、重い口を開きこう告げた。
「サタンさん、CTの結果を確認しましたが...残念です。」
(えっ!!...まさか?)
サタンの心臓の鼓動が一段階上がった。
担当医は続けた。
「薬物での治療は、
これ以上続けても効果が期待できません。
そうなると、選択肢としては...
手術するしか、ありません。」
サタンは驚いた。
「手術ですか!?」
「はい、残念ながら、そうなります。」
蛍光灯の明るい診察室が、まるで真っ暗になったように感じた。
(嘘だろ...?
...だって...)
薬物治療を続けて約1ヶ月。
だが、効果はまるで無かった。
(だって...5年前の手術で...)
こういうのを、人は「不治の病」と、
そう呼ぶのだろうか。
なぜなら、 サタンがこの病気で手術をするのは、これが2回目だからだ。
(...5年前の手術で...
完全に取り除いたはずじゃ無いか!)
...そのはずだった。
人類の医療研究の歴史を、一言で説明するなら、そういう事になるだろう。
黄熱病と戦い、最後は自ら黄熱病で死んだ野口英世。
黒死病ペストがヨーロッパを恐怖のどん底に叩き落としたのは過去の話だが、発展途上国では今もなお深刻な病気だ。
青カビを培養して生成するペニシリン、
そして、ペニシリンの効かない病原体に効果のあるストレプトマイシン。
これら抗生物質の発明は、まさに新たな病と人類との闘いの象徴とも言える。
いつの時代も、人は死に至る病を恐れ、その恐怖から医療は発展してきた。
日進月歩の医療技術は、どんな病でも、たとえそれが今、不治の病と呼ばれるようなものでも、時間を重ねて研究すれば、いつか必ず治療できるようになる。サタンはそう信じている。
だか、今この時に、サタンの抱える病を治療できるかと言えば...残念だが、必ずしもそうとは言い切れないのだ。
「サタンさん、写真のこの部分ですが...」
担当医の説明はサタンの耳にほとんど届いていなかった。
(毒りんご...)
普段厳しい毒りんご。でも、サタンが病気になると、とても心配してくれた。
(アルル...)
サタンを慕い、サタンを信じ、まだその小さい体で、辛い勉強を毎日頑っている。
(カーバンクル...)
幼稚園に入ったばかりで、幼いカーバンクルには、まだまだ父親の支えが必要だ。
守らなければならない。
サタンは手術に怖気づいている場合ではないのだ。
「先生...」
担当医
「では、尿路結石の手術の日を決めましょうか。
いつ行けますか?
1泊2日の入院が必要です。」
「土曜日行けますか?」
担当医
「土曜日もありますが、混むので遅くなりますよ。」
「じゃあ、職場で相談して、
また予約しに来ます。」
こうして、サタンは病院から帰りました。
そうです。
サタンの病気は、尿路結石です。
ガンでもないし、ましてや死ぬような病気ではありません。
心配してくれた人、ごめんなさい。
いや、本当にごめんなさい。
(o´д人))
ただ、知っている人は知ってますが、尿路結石は絶望的に痛い病気です。
(っ´・ω・`⊂)
発作が出たら、痛くて身動きできません。
手術後も、1泊2日の地獄ツアーの出発です。
(((((´;ω;)))))ガクガクブルブル
前回の手術では、一回の入院中に、ナースコールを5回しました。
まさに七転八倒の苦しみです。
サタンは、本当に手術が怖いんです。
前回の手術で、一度全部石は出たんですが、まさかたった5年で新たな石が2つも生まれるなんて。
ヽ(`Д´)ノウワァァァン!!
サタンが最初に尿路結石になったのは若干20歳の時です。サタンは石ができやすい体質だから気をつけなさいと言われました。
あれから20年、尿路結石との戦いはまだ続いています。
サタンの尿路結石との戦いは、毒りんごよりも長いんです。
家に帰って、毒りんごに報告しました。
「えーっ、またなの?
お疲れさん。」
お疲れさん、なんて、生易しいもんじゃないんだってば!
(´тωт`)
うわあああああああ!!
怖いよぉおおおおおお!!!!
手術、こわいよぉおおおお!!
〃""∩ _,,_
⊂⌒(`Д´) ヤダヤダ!
\_つ⊂ノ
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